
概要
アーサナはサンスクリット語のアスに由来されていて、座るためのもの、または椅子という意味で、座っている時の姿勢を表します。
現在、アーサナにはたくさんの種類がありますが、それらは正しく座れるようになるための過程であり、呼吸法や瞑想の前準備としてあります。
八支則の要素の一つ
紀元前3~6世紀頃(弥生時代~古墳時代)、パタンジャリによって編纂されたヨーガ・スートラの中でヨガの8つの要素が記載されています。
現在、ヨガ=ポーズ(アーサナ)というイメージが強いですが、本来は以下の8つの要素をヨガといいます。
ヨーガ八支則 | |
1.ヤマ(社会規律) | ・アヒンサー(非暴力) ・サティヤ(正直) ・アスティヤ(不盗) ・ブラフマチャーリア(禁欲) ・アパリグラハ(不貧) |
2.ニヤマ(個人規律) | ・シャウチャー(清浄) ・サントーシャ(知足) ・タパス(苦行) ・スヴァディアーヤ(読誦) ・イーシュヴァラプラニダーナ(祈念) |
3.アーサナ(座法) | ポーズ |
4.プラーナーヤーマ(調気) | 呼吸法 |
5.プラティアーハーラ(制感) | 感覚制御 |
6.ダーラナー(集中) | 集中 |
7.ディアーナ(瞑想) | 瞑想 |
8.サマーディ(三昧) | 統合(心の死滅) |
パタンジャリのアーサナの定義
•sthira (スッティラ)・・・安定=身体面
パタンジャリのヨーガ・スートラ
•sukha (スッカ)・・・快適=心理面
•asana(m)(アーサナ)
1、体が安定していて、心が快適なのがアーサナ
・purayatna(プラヤットナ)・・・努力、緊張
パタンジャリのヨーガ・スートラ
・saithlya(シャイテリヤ)・・・リラックス、緩める
・ananata(アナンタ)・・・無限の
・samapattibhyam(サマパッティ)・・・同一視
= 努力を緩め無限なものに心を写す。
2、最小限の努力
3、集中

「無限なものに心を写す」どういう意味かしら?

この世で無限なものは何だろう?と考えてみてください。
体、お金、仕事、家、自然、地球、、etc
ほとんどのものが有限ですね。
では、無限なものは?
私は「魂」あるいは「神」だと思っています。
ですが、アーサナをしながら「魂や神に意識を向ける」ことは、誰もが簡単なことではありません。
ですので、まずは意識を心身に向けて「3、集中」することが、無限なものに心を写す近道です。
パタンジャリのアーサナまとめ
①動的な段階にある時
➡最小限の努力で、リラックスする
※リラックスすることで、心身が統合する
②静的なじっとしている時
➡安定していて快適であること
③上記①②の状態である時
➡その姿勢が永遠に保持できるよう無限なものに意識を向ける。(集中)
※結果に執着せず、集中することで・・・
「葛藤が消え、心身のバランスがとれ、病気がなくなる」
パタンジャリのヨーガ・スートラ
アーサナの種類
•ハタ・プラディピカー(1350~1550 室町時代)
ハタ・ヨガの古典テキスト
(ハタ・ヨガについて書かれたものでこれ以上のものはないとされている。)
4章で構成
15種類のアーサナを説いています。その中でも以下の4種類が優れたアーサナとされています(4大アーサナ)。
①シッダ・アーサナ ②パドマ・アーサナ ③シンハ・ムドラー ④バッドラ・アーサナ

見事にすべて座位ですね~
・ゲーランダ・サンヒター(1675~1700 江戸時代)
ハタ・ヨガの古典テキスト
7章で構成
アーサナの総計は生き物の数に等しく、84000のアーサナが説かれた。その中で84のアーサナが優れ、更に現代社会においては32のアーサナが素晴らしい。
ゲーランダ・サンヒター
※32種類のアーサナが紹介されています。

アーサナの数はたくさんあることはわかりましたが、古典テキストの中で具体的に紹介されているものは数十種類です。
アーサナの分類
①瞑想用のアーサナ
<特徴>
- 頭、首、胴体を安定させて、快適な姿勢を一定時間維持して、心身を鎮静化する
- 同じ姿勢で長時間座れる状態
- 48分座ることを、アーサナ・シッダという
- 3時間座ることを、アーサナ・ジャヤという
<アーサナの例>
パドマ・アーサナ ヴァジュラ・アーサナ
②身体トレーニング用のアーサナ
<特徴>
- 静的なストレッチングの動作を伴うアーサナ
- 良好な筋緊張がある
- 脊柱に柔軟性をもたらす
- 背筋と脊髄筋を強化する
- 胸腔や腹腔内の内臓の機能を刺激する(特にうつ伏せ)
- 瞑想用のアーサナの準備になる

「静的」がポイントです。「動的」になるとアーサナではなく、運動になります。
パタンジャリのアーサナの定義に沿って行いましょう♪
<アーサナの例>
パシュチマターナ・アーサナ シャラバ・アーサナ
③リラクゼーション用のアーサナ
<特徴>
- 身体と心に休息を与えるためのアーサナ
- 仰向けかうつ伏せで行われ、種類は少ない
<アーサナの例>


まとめ
重複しますが、「ヨガのアーサナは座る姿勢を意味し、呼吸法や瞑想に繋げていくもの。」
これがまとめになります。
意外でしたか?予想通りでしたか?
ヨガの目的は「心の動きを静めること」です。
目的を把握していれば、意外ではないと思います。
「今、私はなぜアーサナをしているのか?」
目的がわかると体の動かし方が変化していきます。
比較や執着を手放して、ブロックをほどいていきましょう(^^♪
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