
あたかも、心臓、喉、額に触れるようにして音を出す(吐く)。すばやく心臓の蓮華に至るまでマールタ(プラーナ)を吸う。
ハタ・プラディピカー
概要
「バストリカー」は「ふいご」という意味です。ふいごは鉄を熱して加工しやすくするために空気を送り、コークスや石炭を熱くするための道具です。

バストリカーはふいごと同じように身体の熱を高めます。具体的には呼気と吸気を素早く連続させます。
カパーラ・バーティとの違いは息を吸う時の強さと、カパーラ・バーティは浄化法である、ということです。
とても力強い呼吸法ですので、パドマ・アーサナもしくは安定した座法で座れる、カパーラ・バーティをリズミカルに行うことができる、クンバカ(止息)を無理なくできる、これらができるようになってからバストリカーの練習に入るようにしましょう。もしくは指導者のもとで行いましょう。
古典テキストのハタ・プラディピカーに掲載されており、エイトクンバカ(8つの呼吸法)の1つです。またゲーランダ・サンヒターにも掲載されています。
テクニック
テクニック①
- バドマ・アーサナまたは安定した姿勢で座ります。

- 両鼻からゆっくりと深く息を吸い、力強く両鼻から息を吐きます。(※わずかな緊張がある程度)
- すぐにまた息を吸い、力強く吐きます。(※息の強さは同じ)
- 20回繰り返します。最後20回目は少し強めに息を吐きます。
- 右手の薬指と小指で左の鼻孔を閉じて、右鼻から息を吸います。

- 親指で右の鼻孔を閉じて、左鼻から息を吐きます。

- 5~10秒休んでからあと2ラウンド繰り返します。
テクニック②
- テクニック①の5番、右の鼻孔から息を吸った後、両鼻を閉じて快適に保持できる時間クンバカ(ジャーランダラ・バンダ)をします。


- ジャーランダラ・バンダを解き、左鼻から息を吐きます。
テクニック③
- 右の鼻孔を閉じて、左鼻からゆっくりと息を吸い、テクニック①の呼吸を20回行います。

- 20回目に少し強めに息を吐いた後、左鼻から息を吸い、両鼻を閉じてジャーランダラ・バンダとムーラ・バンダをします。快適に保持します。

- 緩める時は、ムーラ・バンダを緩め、ジャーランダラ・バンダを緩め、顔を起こして右鼻からゆっくりと息を吐いていきます。
- これを今度は右鼻から息を吸い、1~3と同じように繰り返します。

- 1~4を3~5ラウンド行います。終わったら深呼吸をしてリラックスして、身体や心の変化を観察します。
効果
ヴァータとピッタとシュレーシュマ(から起こる病気)を取り除き、身体の火を増大する。
ハタ・プラディピカー
- アーユルヴェーダのトリ・ドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カパ)の不調和から生じる病気を取り除きます。
- 身体に熱を生じさせます。
速やかにクンダリーニを覚醒させ、快適さを与えてくれる。ブラフマ・ナーディーの入り口にある粘液などを消滅させる。
ハタ・プラディピカー
- スシュムナーの入り口を塞いでいる粘液を除去し、クンダリーニを覚醒させます。
- 心身を清め、霊性を高めます。
生理学的効果
バストリカーの最も重要な生理学上の効果は脳と心臓にあります。バストリカーは大脳を刺激し、そこから出る分泌液を促します。そして、脳を圧縮したり緩めたりして、リズミカルなマッサージ効果を作り出します。
横隔膜や肺のリズミカルな動きは、心臓と血液の循環に刺激を与えます。そして、それぞれの細胞の中の早くなった血液の循環や毒素の交換の比率は、熱を生み出し毒素を洗い流してくれます。
吐く息が吸う息よりも少なくなったとき、呼吸の増大における血中の炭酸ガスの減少が起こります。ですから、バストリカーにおいては吐く息と吸う息は等しく行われるのです。
横隔膜のすばやくリズミカルな動きもまた内臓器官を刺激します。そしてこれは身体全体にすばらしい効果をもたらしてくれます。
バストリカーは鼻孔や鼻洞に熱を作り、多すぎる粘液をきれいに取り除いてくれ、風邪や呼吸器疾患に対する抵抗力を高めてくれます。ですから、慢性の鼻洞炎・肋膜炎・ぜんそく・気管支炎などのヨーガ的健康管理として有効なのです。
また、消化器官も改善し、機能が鈍くなった器官に刺激を与えます。その結果、食欲も増し、新陳代謝も促進され、神経組織も強くなります。



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